BAGWORKS

風土が、はぐくむもの


今年初めての積雪となりました。豊岡は、冬は寒く、夏は暑いところです。
北兵庫の盆地は、昔から冬の農閑期は雪に閉ざされて、家内仕事が盛んでした。特に柳行李作りは、寡黙で真面目な但馬の人々にあっていた仕事だったのかも知れません。黙々と柳の木を編んでゆく、手先の器用さ、作り手の誇りを表す仕事ぶり、静かな冬の営みだったのでしょう。
モノを作るには、静かな豊岡はいいと思います。しかし、作ったモノを使ってくださるお客様の顔をみることは出来ません。お客さまは都会の人々がほとんどです。都会には、お客様や最新の情報があり、アイデアと工夫のひらめきが溢れています。モノつくりは、ひらめき・作り手・お客様そして要望などのサイクルが回って、よりいいモノが出来上がると思います。
お客様の顔を見て、要望を聞いて腕を磨いていかないと、いい仕事はできないし、いい職人は育たないのです。都会に出ることは必要なことです。しかし、ひらめきのルツボ(都会)の中に居て、落ち着いてモノつくりが出来るかというと、人間そうでもないように思います。作り手の中に、ひとりの人間として、個性を活かしたひらめきを静かに熟成する時間・場所が必要じゃないかと思います。不便で住辛い豊岡は、そんな場所にふさわしいかと思います。